さて、前回は膝関節の役割についてお話させて頂きました。
今回は、膝関節の視診から得られる所見についてお話させて頂こうと思います。
整形外科の診察については理学的所見が重要であり、これを根拠に疾患を想定して各種検査を行う、というのが基本的なセオリーとなっております。それでは、見ていきましょう。

①歩容の観察

 まず、膝関節が痛い場合は、歩行の状態(歩容)が正常時とは異なることが多いです。
 関節の痛みが強い場合は、その痛みをよけるように痛い方の足をかばうような歩き方(疼痛性跛行)を認めます。
 なお、腰椎由来・頸椎由来の下肢の筋力が低下したような歩き方(麻痺性跛行・痙性歩行)もあります。麻痺性跛行は様々な歩き方があり、例えば、大腿部の筋力低下のみが顕著にみられる場合は、膝関節を伸展の状態から屈曲しようとする時に太腿部から先が落ちるような形で歩を進めるような動作をします。膝関節の屈曲動作が制限されている場合は、膝関節を伸展した状態で歩いたりなど、制限している動作を介さないような代償動作を取ることが多いです。痙性歩行は頚椎症性脊髄症、脊髄損傷や脳性麻痺の型に時折見られる歩き方で独特な歩行形態をとります。

②変形の有無

 変形性関節症の場合、初期や進行期では明らかな変形がはっきりしないことも多いですが、末期の変形性関節症に近づけば近づくほど関節の腫脹や変形が著明に認められて、外観ではっきりすることもあります。外観上、内反変形・外反変形を認めている場合は変形性関節症を疑って画像検査を行っていきます。

③しゃがみ動作の観察

 膝関節に器質的異常を認めている場合、しゃがみ動作が制限されてくることが一般的には多いです。半月板損傷や変形性関節症では屈曲時に膝関節後方に、膝蓋軟骨軟化症では膝関節前方に疼痛が誘発されることが多いです。
 また、大腿四頭筋の筋力が低下している場合は立ち上がり動作が困難になる事が多いです。膝関節疾患で特に変形性膝関節症の患者様で立ち上がりがしんどいと訴える方は大腿四頭筋の筋力低下を認めていることが多いです。

④局所の外観

 膝周辺の腫れや皮膚の色調、大腿部の筋肉の萎縮度合い、静脈瘤などがないか観察をしていきます。
 また、膝関節の腫脹や膨隆は最も重要な所見です。例えば、膝蓋骨前面の膨隆では滑液包炎や腫傷などを考えますし、膝蓋骨前面の膨隆では滑液包炎や腫瘍などを考えます。関節内の貯留液による腫脹は膝蓋骨近位部に現れやすく、関節液が多く貯留している場合は膝蓋跳動(ballottement of patella)を認めます。また局所の熱感・発赤がある場合は化膿性関節炎を疑います。この場合は、貯留関節液の性状を穿刺して確認していきます。

以上が指針における膝関節の所見となります。次回は、徒手検査について説明しようと思います。